2014年8月16日

plan-B 定期上映会

LAスキッド・ロウの歴史と現在
講演 / 友常勉
(東京外国語大学教員)

ロスアンジェルスのホームレスの数は全米最多であり、スキッド・ロウはロス最大のホームレス集住地である。そしてもっとも貧困率が高い。薬物中毒が蔓延 し、警察によるハラスメントに24時間さらされているこの地区では、1970年代には住民の67%が白人で、黒人は21%だった。しかし1980年代の終 わりには住民の多くは黒人になった。
90年代からはジェントリフィケーションと金融資本による土地・空間の支配が進行している。高家賃のアパートとセキュリティ空間を拡大する都市開発は黒 人、貧困層、ホームレスの「犯罪者視」を強め、近隣住民の「モラル・パニック」を煽っている。しかも、「近代アメリカ史における非白人層からの最大の富の 収奪」と呼ばれるサブプライム・ローン危機[2007-2008]が、こうした傾向を一挙に最悪にした。
この報告では、スキッド・ロウの住民に対するインタビューと、ロス・アクション・ネットワーク[LA CAN]やLAMPアートプロジェクトといった住居と人権、ケア・社会復帰プログラム、パブリック・エネミーの音楽フェスティバルなどのホームレス支援活 動を通して、この地区の歴史と現在を紹介する。
同時に空間の金融化=証券化、新自由主義、ジェントリフィケーション、そして社会の監獄化が進行している現在の都市の行方を、地政学的な「スケール」にもとづいて論じてみたいと思う。

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